現在投資信託を購入していて更に余裕資金が出来た場合、今保有している投資信託を買い増しすべきか、別の投資信託に投資すべきか迷うところだと思います。

今の投資信託よりもう少しリターンの見込めるものに投資したい気もするけど、調子が良いから買い増しした方が良いかも…

投資信託は分散させるべきか買い増しして一点集中すべきかいろいろ議論されるところでもありますが、基本的にはそれぞれの性質を踏まえた上で自分の投資スタイルに合わせて判断すべきです。

というわけで本ページでは投資信託を分散した場合と一点集中した場合のそれぞれの性質を解説します。




一点集中はハイリスクハイリターン

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投資信託に限らず、投資の世界で特定の分野への一点集中は基本的にハイリスクハイリターンです。

上手くいけばリターンは大きく、上手くいかなければ目も当てられない結果になります。

資産を一極集中すると最悪回復不可能な損失を被る事もありますが、上手くいけば一気に何倍も資産を増やすことができます。

一社の株と百社の株で考えると?

何故一点集中はハイリスクハイリターンなのか?具体例を挙げて解説します。

例えば1000万円の余剰資金があり、リターンの高い一社に集中投資した場合、その会社の株価が2倍に上がれば単純に2倍の収益(+1000万円)を得ることとなります。

しかし逆にその会社に経営上の問題が起こったり、地震によって被災したりして株価が半分に下がれば500万円の損失となります。

倒産等最悪なケースに見舞われると1000万円の投資がすべて溶けてしまう可能性だってあります。そんな問題が一度起これば一社に集中投資している投資家は大きな損失を被ってしまいます。

逆にここで1000万円を一社ではなく10万円ずつ百社に分けて投資するとします。

そうすれば同じことが起きても、話は全く変わります。

仮に百社の中の1社に経営問題が起こっても受ける損失は100分の1に軽減されるので損失を最小限に抑えることができます。

100社の中で仮に1社倒産したとしても失うのは一社分の10万円で済みます。

ただし100社のうち1社の株価が2倍になっても10万円が20万円になっただけなので10万円の利益しか見込めません。

「一社に集中投資するということは、高いリスクを抱えながら高いリターンを得る。」

「百社に分散投資するということは、リスクを低減しながら、そこそこのリターンを得る。」

ということになります。

つまり一点集中投資はハイリスクハイリターン、分散投資はローリスクローリターンとなるわけです。

分散投資はリスク軽減が可能

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投資の世界の名言に「たまごは1つのカゴに盛るな」という言葉があります。

これは、たまご(資金)を集中して1つのカゴ(資産)に集めてしまうと、何かの弾みでカゴ(資産)が落ちてしまった時に、全てのたまご(資金)が割れてしまうから、複数のカゴ(資産)に分けてたまご(資金)を盛ることが大切だと、教えてくれています。

この言葉が教えてくれているように、複数の資産に分散して投資する、分散投資はリスクを軽減する事が可能です。

しかし複数の資産に分散投資するということは、リターンの高い銘柄低い銘柄が混在した複数の銘柄に投資することになるので、集中投資するよりも想定リターンは低くなります。

日本株だけでなく海外株も合わせると?

日本に存在する企業と海外に存在する企業では、出来事によっては互いに影響が出る場合もありますが受ける影響の大きさは変わってきます。

その為、日本株と海外株では別々の値動きをします。

このことを上手く利用して日本株と海外株を組み合わせて投資を行うことで、資産の分散を進めることができ、それに伴いリスクを低減させることができます。

そして、同じ株式のアセットクラス(資産クラス)でも日本、先進国、新興国の3つのクラスに分散投資するだけでも大きな分散効果がありリスクを大きく低減できます。

分散投資はアセットクラス(資産クラス)を分けないと意味がない

分散投資はアセットクラス(資産クラス)を分けないと分散効果はほとんどありません。

例えば、「日本の大企業に投資する投資信託」と「日本の中小企業に投資する投資信託」、「日本の振興企業に投資する投資信託」の3つの投資信託に分散投資しても、日本の株価が全体的に下がれば購入した投資信託すべて下がってしまいます。

特に東日本大震災の時のような事前に予期できない大規模な暴落の場面では顕著です。

このような場面では、1つの日本株というアセットクラスに分散投資していても、分散投資の意味はなく暴落になす術も無く大きな損失を被るでしょう。

これでは分散投資の意味がありません。

しかし、国内外の株式、国内外の債券、国内外の不動産等、幅広く複数のアセットクラスに分散投資していれば、このような突然の暴落のリスクを低減させられます。

例えば、東日本大震災の際に日本株だけでなく海外株にも50:50で分散投資を行っていれば、大きな損失を被るのは日本株の部分だけなので、少なくとも半分の資産の影響は小さくなります。

また、リーマンショックの時には、株式やリート(不動産投資信託)のアセットクラスは大きな暴落を起こしましたが、債券のアセットクラスは微増のリターンを確保しました。

つまり、リーマンショックの時も、株式やリートのアセットクラスだけでなく債券のアセットクラスにも含めて分散投資をしていれば、損失を低減させることができたのです。

アセットクラスによってはAが下がればBが上がる、Bが下がればCが上がるといった相関性を持つものは少なくありません。

このように、複数のアセットクラスに分散投資することで、あらゆる暴落の場面でリスクを低減させることを現代ポートフォリオ理論と呼び、現在最も有効な投資手法の一つとして国内外で支持されています。

特に暴落時に株式やリートと逆の値動きをする債券のアセットクラスを、株式やリートのアセットクラスと合わせて分散投資することで、大きくリスクを低減させることができます。

まとめ

今保有しているファンドが好調で、今後も好調さが見込めるなら買い増しするのもアリです。

しかし、ここで解説してきたように1つのアセットクラスに集中投資すると、その分リスクも高くなるためその点は認識して投資をしましょう。

また、好調なファンドに資金が集まりすぎて集中投資になっているので、リスクを軽減したいと思うのならアセットクラスを分けて分散投資を行うのが良いでしょう。

このような投資を行う上で選択に迫られた際に大切なことは、集中投資の性質、分散投資の性質を理解してその性質を理解した上で投資を行うことです。

投資方法の性質も理解せずに投資を行えば、その後損失を被った際に大きな失望と後悔を感じることでしょう。

しかし、逆に投資方法の性質を理解して投資していれば、その結果を受け入れることができます。

投資は自己責任です。

自分の納得できる投資方法を行うことが、何よりも大切です。