投資の世界では出口戦略という手法があり、株式投資や不動産投資で損してしまう人の共通点は「出口戦略」がないことです。
出口戦略の「出口」というのは売却することで、逆に買付を「入口」と表現したりします。
出口戦略というのは一般的に、「損害の少ないうちに規模を縮小または撤退するための方策。投資した株式・債権などを売却して資金を引き上げること」等後ろ向きな表現が多いですが、投資で資産を増やしている人はこの「出口戦略」を買付する前に行っています。
つまり出口(売却)をある程度想定してから買付を行うわけです。
売るタイミングを先に決めることの重要性
投資の基本は「安く買って高く売る」です。
もちろん株式の配当金や投資信託の分配金、不動産の家賃等インカムゲインで収益を得る場合もありますが、特に株や投資信託は買った商品が紙くず同然の価格に値下がってしまうとほぼ損失となってしまいます。
何も考えずにインカムゲイン(配当金、分配金等)に頼って金融商品に手を出すと高確率で失敗してしまいます。
損失のほとんどが塩漬け株
株で大損してしまう人、投資信託で大損してしまう人の多くは価格が下がり続けて売るに売れなくなった商品を持ち続けてしまうパターンです。
投資業界では売るに売れなくなってしまった株を食品を長期保存する目的で作られるお漬物に例えて塩漬け株と呼んだりします。
投資信託でも同様に基準価額がどんどん減少して売るに売れなくなった投信、塩漬け投信を持つ人がたくさんいます。
基準価額10,000円の投資信託を1000万円で購入して3年後に基準価額が半額の5,000円まで落ちたら500万円の損失が出てしまいます。
「このまま売ったら大損だ」
と思ってしまうともう売れに売れなくなって持ち続けるしかありません。
売るに売れなくなった投資信託は最終的に償還(ファンドの終了)がされ、強制的に売却される恐れもあります。
買う時は売るタイミングを決めてから買う
金融商品は出口を決めてから買うことが鉄則です。投資で生計と立てている専業の個人投資家からすれば常識だと思います。
株のトレーダーは通常買う前に○○円まで上がるか、○○円を割ったら売るといった感じで売るタイミングを決めてから買付を行います。
投資信託の場合、多くの人が預金感覚で始めたり低リスクだからと思って何も考えずに購入してしまいます。
しかしどんなに優良な投資信託でも売るタイミングと買うタイミングを間違ってしまうと大損してしまう可能性を含んでいます。
特に人気のある商品はハイリスクハイリターンのものが多く、買うタイミング、売るタイミングを間違えて多くの人が損失を被っているのが現実です。
短期間で大きく値動きがある株取引ほどシビアに考える必要はないかもしれませんが投資信託でも、
「基準価額が○○円以下になったら売る」
「損失が○○円以上になりそうなら売る」
「何があっても10年間は売らない」
「10年後に基準価額が○○円だったら売る」
という感じである程度出口を決めてから購入するようにしましょう。
塩漬けファンドをどうするべきか
もうすでに価格が下がって売るに売れなくなった塩漬けファンド(塩漬け投信)を持っている場合、どうするべきかというと、もう売却するしか他ありません。
投資信託は基準価額が下がって買いが殺到しても基準価額が上がるわけではないので(基準価額が下がっている投資信託を買ってはいけない理由を参照)、回復するにはそのファンドの運用次第となり、上がる見込みがない商品の場合は回復することはありません。
例えば近年、ブラジルのリオデジャネイロで夏季オリンピックが開催されることもあってブラジルの商品が人気ですが、オリンピックが終了するとそれらの価値は一気に下がることが予想されます。
開催間近の現在(2015年5月)、もうすでに下がり調子でピーク時にブラジル関連の金融商品を購入してしまった人は買った金額より上がる見込みはほぼ皆無と言えます。さっさと売った方がまだ傷が小さく済みます。
といったようにどうしようもない投資信託を抱えている人は早く売却して別の商品に乗り換えた方が身のためです。
近くに投資をやっている人に相談出来るなら相談してみてください。間違っても銀行や保険会社に相談してはダメですよ。
持っている投資信託の良し悪しを見分ける方法
専門知識があり、信頼出来る投資家の人が身近にいれば一番ですが、そんな人中々いませんよね。
なので多くの場合、持っている投資信託が良いのか、悪いのかを自分で見分ける必要があります。
その方法としては投資信託の情報サイト、「投信まとなび」で検索するという方法があります。
投信まとなびを開いて「投信検索」⇒「条件指定検索」の順で進むと各投資信託の情報を検索することできます。
投信まとなびで自分の投資信託を検索して「同分類におけるパフォーマンス比較」という項目を見ると自分が購入した投資信託が他投信と比べて良いのか、悪いのかがある程度分かります。
例えば運用がイマイチな投資信託は下画像のようにマイナス数値が多く、「同分類内順位」も低いです。
下画像のように多少波があれど平均的に数値が良ければそのファンドは悪くない商品であると言えます。こちらは私がオススメする投信の一つ、「セゾン資産形成の達人ファンド」です。
※セゾン資産形成の達人ファンドの詳細は「セゾン投信の資産形成の達人ファンドは買いなのか」をご一読ください。
分類のBMとはベンチマークを意味し、ベンチマークとはそのファンド(投資信託)が基準としている数値です。もちろんこれもマイナスが続くファンドはダメなファンドであると言えます。
下がり続けて売るべきか迷っている人は「投信まとなび」で自分のファンドの運用状況を見てみてください。
マイナス運用が続き、同分類内順位もずっと下位のファンドはこの先伸びる見込みがほとんどありません。
ロスカット(損切り)することは「損失が出るかもしれない」という状態から「損失が確定する」に変わるわけですから始めはとても勇気が要る行為です。
しかし「損失が出るかもしれない」という商品は実は「放っておけばもっと損失が出る」商品である可能性が非常に高いです。
そうなる前にさっさと売却しましょう。