株の短期取引のようにキャピタルゲイン(売買益)を狙った投資ではなく、投資信託のように長期投資を行う場合は積立投資の方がメリットが多いです。
以前「投資信託は積立で買うべきかスポットで買うべきか」という記事でも積立投資のメリットについて少し触れましたが本ページでは積立投資、ドル・コスト平均法についてもう少し詳しく解説します。
積立投資の投資手法とは
積立投資は投資業界でドル・コスト平均法、定期購入法等と呼ばれる投資手法の一つです。
ドル・コスト平均法では株や投資信託等を買う際、口数ではなく決まった金額で購入するのが特徴です。
例えば毎月2万円ずつ積立投資をすると仮定した場合、株価が1口1万円の時には2口購入することになり、5,000円に下がっている時は4口、2万円に上がっている時は1口購入することになります。
毎月決まった金額を投資するため、平均的に高い時は少なく安い時には多く購入することが出来る半面、決まった金額でしか投資をしないため、極端に下がっている時に多量に購入することや、極端に高い時に「買わない」という選択が出来ません。
もちろんその気になれば定期購入をやめたり、いつもより多く買い増しすることは出来ますが、それだとドル・コスト平均法を崩すことになりますよね。
そもそもドル・コスト平均法はそういった株価の一時的な値上げ、値下げに囚われず長期的に決まった金額で投資して徐々に資産を増やすことを目的とした投資手法です。
余談ですが基本的にドル・コスト平均法に基づいて投資しますが、安い時に通常より多く買い増しし、高い時に少なく購入するバリュー平均法という投資手法もあります。
ドル・コスト平均法は大きく利益を伸ばすことが出来ないことがデメリットとして上げられていますが、大きな損失を出さないために大きく利益を伸ばすやり方をしないのがドル・コスト平均法なのでデメリットとは呼べません。
投資信託を定期購入した場合の試算
では実際にドル・コスト平均法で投資信託を購入した場合はどうなるでしょうか。
投資信託の多くは毎月決まった金額を口座から自動的に買付が出来る積立型のプランがあります。
例えばあるファンド(投資信託)を毎月2万円ずつ半年間購入した場合とスポットで12万円分購入した場合ではどのような違いが出てくるか、表にまとめると下記のようになります。
※基準価額とはファンド1万口あたりの価格です。
・積立投資の場合
投資月 | 投資金額 | 基準価額 | 口数 |
---|---|---|---|
開始月 | 20,000円 | 10,000円 | 2万口 |
2ヶ月目 | 20,000円 | 10,000円 | 2万口買い増し |
3ヶ月目 | 20,000円 | 15,000円 (+50%) | 1.3万口買い増し |
4ヶ月目 | 20,000円 | 10,000円 | 2万口買い増し |
5ヶ月目 | 20,000円 | 5,000円 (-50%) | 4万口買い増し |
6カ月目 | 20,000円 | 10,000円 | 2万口買い増し |
合計 | 120,000円 | (平均)10,000円 | 13.3万口 |
基準価額は3ヶ月目に50%上昇、5ヶ月目に50%下降し、半年間での平均値が1万円だったと仮定します。
その際2万円積立だと3ヶ月目は1.3万口の買い増し、5ヶ月目は4万口の買い増しとなります(端数切り捨て)。
・スポット購入の場合
投資月 | 投資金額 | 基準価額 | 口数 |
---|---|---|---|
開始月 | 120,000円 | 10,000円 | 12万口 |
6カ月後 | 120,000円 | 10,000円 | 12万口 |
累計 | 120,000円 | (平均)10,000円 | 12万口 |
基準価額の値動きは積立投資の場合と同じで購入時1万円、間で上下があったものの6カ月後に1万円、平均1万円だったと仮定します。
二つを比較すると投資金額が同じであるにも関わらず6カ月後に所有している口数は積立投資をした場合の方が多くなります。
つまりこの時点(6カ月後)で売却した場合、積立投資の場合は1.3万口(約13,000円)の利益が発生します。スポット購入の場合は購入時と売却時の価格が同じである場合、当然利益はなしとなります。
積立投資は基準価額が下がった時に多く買い増しし、上がった時は少ない買い増しとなるので最終的に平均的な基準価額となった場合でも利益が生まれます。
一方でスポットで購入した場合は購入した金額よりも売却する時の金額の方が高くなければ利益は出ません。
(購入時、売却時、運用に掛かる手数料、分配金は考慮していません)
積立投資なら平均的な利益が出る
試算表の通り、毎月決まった金額で購入する積立型の投資信託は基準価額の値動きが平均的であっても利益が出る計算となっています。
つまり積立型の投資信託は基準価額が減少し続けるようなファンドを購入しなければ高確率で利益が出る見込みがあると言えます。
上記計算では手数料を考慮していないのであくまで概念的なレベルでしかありませんが、手数料が比較的安いパッシブ型の投資信託であれば平均的な運用さえしてくれればだいたい利益が出ます。
積立投資は大きくは増やせないが確実に利益が出る
積立投資、ドル・コスト平均法は値上がり、値下がりに囚われず平均的に購入する手法です。
そのため安い時にドカっと買って高い時にドカっと売って大きく儲けるような投資の仕方とは異なり、突発的に大きな利益を生むことはできません。
しかしそもそも投資信託の基準価額は市場原理によって変動するわけではないので現状の価格が高いのか、安いのかを判断することはできません。
基準価額が現状より上がるか、下がるかはそのファンドの運用次第となってくるため、安く買って高く売るいわゆるナンピン買いに適していないんです。
投資信託はそのファンドの平均的な基準価額で購入し、ファンドの運用により資産が増えることで基準価額が増え、価値が上がるというのが正攻法です。
何より積立投資は精神的に楽
スポットで購入した場合購入した時より高いか、安いかが非常に重要で売るタイミングも考慮ないといけないから毎日の値動きが非常に気になってしまいますよね。
専業デイトレーダーのような人ならそれが仕事なので問題ないかもしれませんが、サラリーマンだと値動きが気になって仕方ないと思います。
特に投資信託の基準価額は下がり出すと歯止めが利かなくなるファンドも多いので一度に大きな額を投資していると精神上キツイものがあります。
しかし積立投資の場合、毎月自動的に買付を行うので買うタイミング、売るタイミングなんてあまり気にする必要はなくなります。毎月銀行口座から自動的に引かれるわけですから定期預金しているのと変わりはありません。
基準価額が下がっていてもたくさん買えるというメリットがあるので別に気にならないですよね。下がり続けて「ヤバイな~」と思ったら自動購入をやめて売れば良いだけです。
2回目になりますが、投資信託は基本的に長期投資をして徐々に資産を増やすやり方が成功しやすいので精神面でも安定しやすいというのはとても重要です。
特に初心者の場合、投資信託を購入する際は圧倒的に定期購入がお勧めですよ。
私も付き合いで仕方なく積立投信を1年前から毎月1万で購入してますが、買った月以外上がりっぱなしでいつも1口未満しか購入できておらない試算です。今はやりのある銘柄ですがこれ以上跳ねあがったらたとえば1年で12口買える所が下手したら7口位しか買えない計算になり1年で5万円の損失がでます。さっさと手仕舞してトレンドにつぎ込んだ方が良さそうです。基準価値が上がって喜べないのが積立投信です。こんなものを5年も10年も持ち続ける人は初心者で説明されても意味がわからないんでしょう。下がればさがるで目減りするだけだし自分にはザラバで勝負したのが余程利益がでると踏んでます。この20年で1000万程負けてますがね。