東京海上・円資産バランスファンド(毎月決算型)「愛称:円奏会」は、ゆうちょ銀行を中心に販売されている人気の投信商品です。

日本債券に70%、日本の株式に15%、日本のREIT(不動産系)に15%ずつ投資するバランスタイプが特徴です。

資産総額も3,600億円と高く、債券中心のためリスクはかなり少なくしているのが見受けられます。

しかしながら、分配金の金額や信託報酬などを加味すると、決して「買いの投信商品」とは言えません。




ローリスクでローリターンの商品だが、手数料が高い

東京海上・円資産バランスファンド(毎月決算型)は購入時に最大1.5%(税抜※)の手数料が発生します。

また、1年あたりの信託報酬(運用管理費用)は0.84%(税別)となっています。

ハイリターンを狙うアクティブ型の投信商品の場合、購入手数料3%、信託報酬1.6%ということもありえます。

 

手数料の比率だけを見るにそこまで手数料は大きく感じませんが、問題なのはリターンの少なさです。

この商品は毎月分配金が支払われますが、1万口あたりの分配金はたったの【30円】です(2017年11月から直近1年間の実績)。

ここから20.315%の税金が都度引かれていくため、実質の手取り金額は【約24円】になります。

1万口の基準価額は、2017年11月時点で11,650円。

購入時に1.5%(税別)分の180円ほどが手数料として取られるのを考えると、利益が出始めるまで少なくとも半年はかかる計算となることが、おすすめできない理由の一つです。

バランス型の配分が中途半端

「国内と海外」「債券と株式」のように相反する2つの投信商品をバランスよく組み入れたものがバランス型の商品です。

例えば、景気がよくなると債券価格は下落しますが、株式価格は上昇するため、景気変動の影響を最小限にまで抑えることができるのが特徴です。

東京会場・円資産バランスファンド(毎月分配型)も確かにバランス型ではあるのですが、対象地域は日本だけに限定されており、またリスク低減のため債券が7割を占めています。

日本の景気が後ろ向きだということを、暗に示しているともいえます。

 

また、株式とREITの30%分に対しては、基準価額の変動リスクが大きくなった場合に投資を抑制すると書かれています。

月次報告書の例では、日本株式を2.5%、REITを2.5%まで減らし、残りを短期金融資産等で補填するとのことです。

実際にこうした柔軟な対応ができればいいのですが、基準価額がほぼ横ばいで推移しているのを見ると、なかなか難しい現実が浮かび上がってきますね。

「リスクが低く安定した運用をしたい」そんなときは…

東京海上・円資産バランスファンド(毎月分配型)のPRポイントとしては「ローリスクでありながら、毎月分配金がもらえる」という点があげられます。

当サイトでは基本的に「毎月分配型」の投信商品をおすすめしていないため、ここではローリスクで安定した運用を目指すにはどうすべきかをご紹介しましょう。

投資信託には、大きく分けて「債券型」と「株式型」の2つがあります。

ローリスクを狙うのであれば債券型、特に今回のような株式とのバランス型ではなくて、100%債券に投資している商品(公社債投信)がおすすめです。

リスクが少ない分、リターンも少なめではありますが、中~長期運用を前提としているのであれば、ある程度まとまった資産を得ることができます。

もちろん、元本割れのリスクがほとんどないことも大きなメリットと言えるでしょう。

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結論:東京海上・円資産バランスファンド(毎月決算型)以外にも視野を広げて

投資信託FANでは、東京会場・円資産バランスファンド(毎月決算型)はおすすめすべき投信商品ではありません。

毎月の分配金やリスクの少なさばかりに注目してしまい、維持費を見落としてしまっては元も子もないですからね。

「なぜこの投信商品は人気なのか」「分配金とコストのバランスは」など、さまざまな情報をご自身で確かめてから投資するようにしましょう。

この商品の概要

名称 東京会場・円資産バランスファンド(毎月決算型)「愛称:円奏会」
対象 バランス型(債券70%、株式15%、不動産15%)
地域 日本国内
利回り 3.09%
総資産額 3,670億円
基準価額 11,650円(1万口あたり)
信託報酬 0.84%(税別)
※情報は2017年11月末時点です。