日本国内の投資信託商品として人気のある「ラサール・グローバルREITファンド(毎月分配型)」。
投資信託ランキングの上位に入っていることや、窓口販売でよく勧められる商品のため、もしかしたら一度は耳にしたことがあるかもしれません。
でも、ちょっと待ってください。
ランキング上位に入っている商品や、窓口で勧められる商品が本当に自身のライフプランに合ったものでしょうか。
結論からいえば「NO」で、投資信託FANではラサール・グローバルREITファンド(毎月分配型)をおすすめしておりません。
その理由をお話していきましょう。
※ なお、ラサール・グローバルREITファンドには「毎月分配型」ではなく「1年決済型」もあるのですが、やはりこちらもおすすめすることはできません。
ラサール・グローバルREITファンドの概要
おすすめしない理由を説明する前に、まずはこの商品がどんなものか確認しておきましょう。
名称 | ラサール・グローバルREITファンド(毎月分配型) |
対象 | 不動産投信 |
地域 | 国内外 |
利回り | 3.95% |
総資産額 | 8,098億円 |
基準価格 | 2,476円(1万口あたり) |
信託報酬 | 1.50%(税別) |
為替ヘッジ | なし |
※情報は2017年11月末時点です。 |
REIT(リート)は世界中にあるビルやマンション、商業施設などの不動産に投資して売買益を得ていく投資信託商品です。
なお、REITはReal Estate Investment Trustの略称です。
リートの詳細はJ-REIT(不動産投資信託)の基本と選び方でまとめています。
ラサール・グローバルREITファンドはアメリカを中心に欧米、アジア、オーストラリアなどの不動産に投資し、安定しつつも高い利回りを目指すものとなっています。
90%以上が海外に投資している投資信託商品ではありますが、為替ヘッジは行われません。
また、信託報酬が1.5%(税別)とやや高めであることも気になる点の一つといえます。
ラサール・グローバルREITファンドはファミリーファンド方式を取っている
ファミリーファンド方式というのは、投資信託の資金を親ファンド(=マザーファンド)に投資し、親ファンドが実際に運用などを行う形態のことをいいます。
このラサール・グローバルREITファンドそのものは子ファンドであり、Lasalle Investment Management(日本語名:ラサール不動産投資顧問株式会社)が親ファンドになります。
ファミリーファンドの形態をとることで、よりリスクを抑えた運用ができるのがメリットの一つといえます。
関連記事:ファミリーファンド方式とは何か?性質と種類等を解説
運用コスト・毎月分配型・成績の3つの理由から避けたほうがよい
結論からいえば、ラサール・グローバルREITファンド(毎月分配型)はおすすめできる投信ではありません。
その理由としては、
- 理由1:運用コストが高い
- 理由2:毎月分配型はデメリットが多い
- 理由3:運用成績がイマイチ
の3つがあります。
おすすめしない理由1:運用コストが高い
この投信商品は運用コストが高いです。
まず、購入時に手数料として3%(税別)かかります。
基準価格はだいたい2,500円のため、80円ぐらいの手数料がかかってきます。
また、信託報酬はだいたい1%前後であることが多いですが、この商品は信託報酬が1.5%(税別)とやや割高です。
購入手数料が全くかからずに、同程度の利回りを確保できる投資信託商品は他にもたくさんありますので、そちらを選んだほうがいいでしょう。
おすすめしない理由2:毎月分配型はデメリットが多い
毎月分配型の投信商品は人気が強いです。
というのも、毎月決まった日にちに一定の金額が振り込まれるため、「投資している」という実感が持てるのが人気の理由といえます。
ただし、投資信託は数年~10年以上かけて資産を増やしていくことが大きな目的です。
そのため、毎月分配金が入るごとに税金を取られてしまうこのタイプは、「資産を増やす」という大きな目的を達成するまで時間がかかってしまいます。
日本国内では、分配金の課税割合は「20.315%」です。
2017年11月現在、ラサール・グローバルREITファンド(毎月分配型)は「毎月40円(1万口あたり)」の分配金が配られています。
ただし、実際の手取りとしては税引後の32円しか残りませんし、購入時に80円を支払っているため、3か月以上経ってはじめて黒字となります。
分配金がない投信商品は、この税金分も再投資に回されます。
つまり、毎月税金が引かれていると投資全体の利回りが下がってしまう要因にもなるのです。
関連記事:毎月分配型の投資信託で損失が出る仕組み
おすすめしない理由3:運用成績がイマイチ
投信商品の「純資産額」は、資産額が多いほど商品の安全性が高くなり、増えていると運用がうまくいっている一つの指標になります。
ここ3年ほどのデータを見ると基準価格は横ばい、総資産額については減少傾向が見られることから、成績が乏しくないともいえるでしょう。
もちろん、これからグーンと伸びる可能性もゼロではありませんが、現状の成績を見るに可能性は低いといえます。
「運用コストが高いこと」と「毎月税金が取られ投資効率が下がること」「成績が乏しくない」の3つが、ラサール・グローバルREITファンド(毎月分配型)をおすすめしない理由です。
それでもなぜ人気商品なのか?
とはいえ、ランキングなどを見るとラサール・グローバルREITファンド(毎月分配型)は人気に陰りがありません。
その背景には「お金に関する知識がない」ところをうまく突かれているといっても過言ではありません。
人気である理由は次の2つが考えられます。
- 販売窓口のイチオシ商品である
- 日本人は毎月分配型に弱い
人気と思われる理由1:販売窓口のイチオシ商品である
銀行などの金融機関に投信商品を買いに行ったことのある方ならご存知だと思うのですが、窓口でおすすめされるのは毎月分配型が多いです。
「売れ筋商品ですよ」
「毎月お金が入ってきますよ」
といった言葉を聞いてそのまま買ってしまうと損してしまうことも少なくありません。
中には販売員が勧めてくれた商品で当たったという方もいなくはないですが、少数派だと思ってください。
販売員の方にもノルマがあり、私たちに商品を売ることで利益をあげています。
人気や不人気といった言葉に惑わされず、自分にあった商品はどれなのかを選べるよう、しっかりと投資信託の知識をつけておくことがポイントです。
人気と思われる理由2:日本人は毎月分配型に弱い
日本人は目先のお金に気を取られてしまうクセがあります。
そのため、毎月お金が入ってくる投信商品は「投資している感覚がある」「どこか安心する」といった感情を持ちやすくなります。
ただし、上でお話したとおり、分配金のうち20%は税金として支払わなくてはなりません。
例えば1か月で1,000円、1年で12,000円の分配金が入ってきたとしても、そのうちの2,400円はコストとなってしまうのです。
「1つぐらいは毎月分配型がほしい…」というのであれば、他の投信商品は長期的に投資できるものを組み合わせるのがいいでしょう。
結論:ラサール・グローバルREITファンド(毎月分配型)はおすすめしない
ラサール・グローバルREITファンド(毎月分配型)は運用コストも高く、成績の伸びも決していいとは言えません。
この商品以外にも同程度の安全性、利回りの商品はたくさんあります。
ランキングや他人の言葉をそのまま鵜呑みにせずに、自身で知識をつけて商品の良し悪しを見極められるようにすることが大切です。