現在、投資信託の半分以上は銀行(都市銀行、地方銀行、ゆうちょ銀行等)から購入されていると言われています。
銀行は投資をしていない人が利用するため銀行の営業の人に「預金感覚で始められる」と言われ気軽に購入してしまう人が多いんです。
しかしこのサイトでも何度か説明した通り、投資信託は銀行や証券会社、保険会社等の窓口で購入してはいけません。
その理由は大きく分けて二つ。
一つは銀行等の窓口で購入すると手数料が割高になってしまうこと。
関連記事:投資信託を購入するなら銀行、証券会社、ネットのどれがおすすめか
もう一つは選べる投資信託が少ないことです。
現在国内に5000種類以上の投資信託があると言われていますが行きつけの銀行がそのすべてを取り扱っているわけではありません。
一つの銀行が取り扱っている投信の種類はごく一部で、その中で営業マンが勧めてくる数種類の中かから選ばなければならなくなります。
この中に自分が理想とする投資信託が一つでもあればいいのですが、残念ながらその可能性は極めて低いです。
何故なら銀行で勧められる投資信託は新規公開されたばかりのものや信託報酬(手数料)が割高のものが多く、信託報酬が安い長期投資に向いている商品が勧められることはほとんどないからです。
そのため自分が求める投資信託を購入したければ必然的にネット証券会社を始めとするネット販売に頼ることになります。
しかしネット証券会社では自分の目的に合った投資を勧めてくれる人はおらず、自分で投資信託を見分ける必要があります。
そこで活用すべきはモーニングスターを始めとする投資信託情報サイトです。
モーニングスターは日本の投資信託の格付け評価等を行っている会社で、個人投資家だけでなく機関投資家(信託銀行や証券会社等大規模投資を行う機関)にも情報提供を行っています。
本ページでは投資信託選びに必須とも言えるモーニングスターの活用方法について解説します。
モーニングスターの基本的な見方
まずは実際にモーニングスターのサイトに行って投資信託の情報を見てみましょう。
下画像がモーニングスターのトップページです。
投資信託を選びたい、探したい場合は基本的に右上にある検索、またはランキングを見てみましょう。
ファンドランキングをチェックする
特に調べたいファンド(投資信託)がなければランキングからチェックするのも良いと思います。
ただしランキングはあくまで過去の実績過ぎないので過信してはいけません。債券の利回りが良くなれば債券を中心としたファンドに人気が出ますしブラジルに人気が集まればブラジルに投資するファンドがランキングで上がってきやすいです。
トップページ右上にある「ランキング」をクリックしてファンドランキングを見てみましょう。
下の赤枠で印している部分がランキング内容、20位までが記載されます。
上の青枠の部分は上からランキングの基準(リターン、レーティング、シャープレシオ他)、分類の絞り込み(国内株式、国内債券他)、ランキングの対象期間の3つでランキングを表示することが出来ます。
レーティングとは:投資信託の評価を表し、モーニングスターでは運用成績が3年以上のものを対象に5段階の★マークで表されています。★の数が多いものが高い評価を受けていることになります。レーティングはファンドのリスクやリターン等を基に計算されているようです。
シャープレシオとは:リスクに見合ったリターンを得ているかを表す指標です。数値が大きい方が高い評価となりリスクに対して高いリターンを得ている効率の良い投資ということになります。投資信託を選ぶ際に最も重要な数値の一つです。
コストとは:投資信託を購入する際にあたって発生する費用です。モーニングスターでは購入時に掛かる購入時手数料、保持している間に掛かる信託報酬の2つを安い順にランキングで表示することが出来ます。
純資産とは:ファンドが所持する純資産総額です。数値が高ければ高いほど安定的であると言えますが純資産が高ければ必ずしも安定的とは言えません。
参考記事:増加が良いとは限らない。投資信託の純資産総額はここに気をつけろ
ランキングで投資信託を探す際のポイント
モーニングスターは様々な条件での絞り込みが可能で自分が求める投資信託を検索するにあたって非常に便利です。
ただしランキングはあくまで過去の実績から算出されるものなので過信は禁物です。
ランキングで投資信託を選ぶ際には下記の2つに注意しましょう。
- 何に投資しているか(分類)
- 数値の精度は確かか(期間)
上記2つは絞り込みによって簡単に対象のファンドを調べることが出来ます。
特に「何に投資しているか」はとても重要で何に対していくら投資しているかが分からないと値上がりしても売るべきか、買い増しするべきか等の今後の判断が一切できません。
通常「何に投資しているか」がよくわかっていないまま投資する人はほとんどいないはずですが投資信託の場合、仕組みがやや複雑なことや初心者が言われるがままに買いやすいためよくわからず購入する人が少なくありません。
必ず何に投資しているかを理解してから選びましょう。
ランキングのリターンやシャープレシオ等の数値は期間が長ければ長いほど精度が高くなります。
例えば1か月間のリターンが1位のファンドと10年間のリターンが1位のファンドでは断然後者の方が安定的にリターンを生んでいることは明らかです。前者の場合過去1か月間のリターンが1位でもそれ以前、運営トータルを見ると平均以下だということは少なくありません。
※下画像は2016年6月2日時点でリターン1位となっているファンドです
過去1か月、3か月では良い数値となっていますが6か月では大きくマイナスとなっています。
短期間ではたまたま短期的に評価されて上がっているだけということも少なくないので長い期間(5年~10年)で見てみることをお勧めします。
※モーニングスターのリターンは3年以前のものは(年率)で表示されています。例えば3年(年率)のリターンが5%だった場合、過去3年間の平均年率が5%であるという意味を表し、3年間トータルのリターンは15%となります。
検索から絞り込みで探す
ランキングではなく絞り込み検索によって自分に適したファンドを探すこともできます。
検索はトップページ上部にある「ファンドの検索」をクリックします。
下画像のような様々な条件を付けて検索することが可能です。
項目が非常に多いので特に初心者の場合何をどうしていいのか分からないかもしれません。
なので本ページでは要点だけ絞って解説します。
選択すべき重要なポイントは以下の通りとなります。
- カテゴリー(投資対象等)
- 決算頻度(長期投資なら1年決算を選択)
- 総合レーティング(3以上なら安心)
- シャープレシオ(5年or10年で平均より高いを選択)
- リターン(利回り重視なら平均以上を選択)
- リスクメジャー(5段階評価でリスクが選択可能)
- 標準偏差(基準価額の振れ幅、小さい方が安定的)
- コスト(信託報酬は平均より低いものを選ぶ)
- その他(運用年数5年以上、純資産30億円(3000と入力)を目安に)
当サイトでは毎月分配型の投資信託はオススメしていないので分配金に関する項目は除外しています。分配金が必要な場合は分配金の項目も確認しましょう。
今回下記の通りに選択して検索してみました。
- カテゴリー(日本株式)
- 決算頻度(1年決算)
- 総合レーティング(4以上)
- シャープレシオ(5年で平均より高い)
- リターン(未選択)
- リスクメジャー(3、平均的)
- 標準偏差(5年で平均より小さい)
- コスト(未選択)
- その他(運用年数5年以上、純資産30億円)
検索結果は24件でした。
ここからリターンが高いものを選ぶのか、標準偏差から選ぶのか、信託報酬から選ぶのかは自分で決める必要があります。
「信託報酬が安いものが良い」
と考えるなら信託報酬が安い順にソートして信託報酬が安いものから順に見ていきましょう。
ファンドの詳細を見る
ランキングや絞り込み検索、また直接ファンド名を入力してファンド一つ一つ詳細を見てみましょう。
ファンドの詳細ページは下記画像のようになっています。今回のサンプルは上記絞り込みで最も信託報酬の安かったファンド、「野村 インデックスF・日経225」です。
各ファンドのトップページはスナップショットといって基準価額や分配金、レーティング、リスク、パフォーマンス等ファンドの要点がずらっと表記されています。
基準価額の動きやリターン、リスク等の詳細を見たい場合はグラフ上のグレーのメニューバーから確認できます。
トップページで一際目を引くグラフは基準価額の推移です。
ここ1年下がり調子なのは日経平均株価が下がっているからです。このファンドは日経平均に連動するインデックス型の投資信託なので日経平均株価が下がればそれに合わせて基準価額も下がり、トータルリターンも赤字となってしまいます。
※下画像は「野村 インデックスF・日経225」の5年間の基準価額の推移
※下画像は日経平均株価の過去5年間の推移
かなり似たグラフになっていますよね。
過去5年間を見ると日経平均株価は1.5倍程度伸びているので必然的に国内株のインデックス型ファンドの過去5年間の成績は良くなるわけです。
ただ、今後5年間で更に1.5倍成長するかというと今の日本の経済状況からみて少々難しいのではないかと私は考えます。
過去の実績ばかりみて判断してはいけない理由はここにあります。
「何に投資しているか」をしっかり把握しておけば、ある程度今後の見通しも考えることが出来ます。
ファンドが決まったら購入窓口を探す
買いたいファンドが決まったら販売されている購入窓口を探しましょう。各ファンドページのメニューバー「販売会社」をクリックすると購入が可能な証券会社、銀行が一覧で表示されます。
モーニングスターでは最少購入金額、購入時手数料が一覧で確認できるので非常に便利です。
一般的な銀行では購入時手数料が掛かるものもネット証券会社からではノーロード(購入時手数料なし)だったりする場合もあるので買いたい投資信託が決まったら必ずネットで購入できるか確認しましょう。
まとめ
※画像はイメージです
かなり長くなってしまいましたが、少なくとも投資信託を選ぶ際は上記項目(検索する際に用いた9項目)を確認するのは必須です。
投資業界は元本割れしても自己責任となるため販売業者の言う通りの結果にならなくても販売業者は責任を取りません。
そのため自分で選んで自分で判断し、自分の責任で購入しなければなりません。
少々面倒かもしれませんが資産を増やしたければ自分で調べて優良なものを選んで購入しましょう。