現在日本は長引く低金利のため、不動産や投資信託の購入を検討している人も多いと思います。

特に投資信託は銀行でも販売しており、担当者から預金感覚で高利回りが期待できると紹介された経験のある人も多いのではないでしょうか。

本ページでは実際に運用されている投資信託を見ながらリスクに対してどれだけのリターン(利回り)が期待できるのかを解説していきたいと思います。




人気ファンドの利回りはどれくらい?

まず始めに現在最も売れているファンド(投資信託)、「新光US-REITオープン 『愛称:ゼウス』」の利回りを見てみましょう。

このファンドは価格ドットコムでも人気no.1のファンドです。

新光US-REITオープン(以下ゼウス)の概要

%e3%82%bc%e3%82%a6%e3%82%b9%ef%bc%92

ゼウスはアメリカの不動産投資信託証券(アメリカ版のリートです。)に分散投資する投資信託で、市場平均を超える配当水準と長期的な値上がり益を獲得することを目指した運用を行う、ことを目的としています。

REIT型投資信託について詳しく知りたい方はメリットあるの?REIT(リート)へ投資する投資信託は買いなのか。をご一読ください。

そしてゼウスは毎月決算を行い毎月分配金を支払う、いわゆる「毎月分配型」の投資信託です。

%e6%8a%95%e8%b3%87%e4%bf%a1%e8%a8%97%e3%80%80%e5%88%86%e9%85%8d%e9%87%91

原則為替ヘッジなし、運用は「インベスコ・アドバイザーズ・インク」という運用会社が行います。

ゼウスのトータルリターン

実質の利益を表すトータルリターンは直近10年で年率4.18%、設定来のトータル分配金は9673円となっています。

ゼウスは設定来毎月分配金を支払っています。

株式よりもリスクが高いと言われるREIT型で、しかもリスクの高いアクティブファンドであることを考慮するとこの数字はあまり良いとは言えません。

ゼウスは実際儲かってるの?

ゼウスは毎月配当金が支払われるので、購入すれば定期収入を得られると人気が高く、購入者が殺到し、毎月大量の資金がゼウスに流入しています。

その規模は2016年の時点で15,174.58億円となっており、今ではすっかり日本有数の投資信託です。

しかし、分配金は確かに毎月分配されていますが、ゼウス自体の基準価格は下落が続いています。

毎月大量の資金が流入しているにも関わらず、基準価格の下落は止まりません。

※下グラフのオレンジ色が基準価額。

ゼウスのチャート

これは、純粋なアメリカ不動産投資信託証券に得たリターンではなく、流入した資金から分配金を支払っているからです。

つまり、ゼウスを購入した自分の資金の一部が分配金として自分に支払われているということです。

購入時から目減りした基準価格は分配金で補われていると思うかもしれませんが、少し調べれば基準価格の目減り分を分配金で補うよりも早く基準価格が減っていることが分かり、基準価格と分配金を合わせた設定来の実質リターンは年率6%程度です。

投資信託で年率6%という数字は悪い数字ではありませんが、海外REITに投資するアクティブファンドという高いリスクに見合ったリターンとは言い難いです。

ゼウスは毎月分配金か支払われるので、何だかとても多くのリターンを得ている気持ちになりますが、実質のリターンはそれほど多いものではありません。

%e6%8a%95%e8%b3%87%e4%bf%a1%e8%a8%97%e3%80%80%e3%83%8f%e3%82%a4%e3%83%aa%e3%82%b9%e3%82%af%e3%80%80%e3%83%8f%e3%82%a4%e3%83%aa%e3%82%bf%e3%83%bc%e3%83%b3-%e8%a8%98%e5%8f%b7

優良アクティブファンド ひふみ投信

%e3%81%b2%e3%81%b5%e3%81%bf%e3%81%a8%e3%81%86%e3%81%97%e3%82%93

次に国内株に投資する投資信託の利回りを見てみましょう。

対象とするのはインデックスを上回ることが難しいとされるアクティブ運用で功績を収めているひふみ投信です。

ひふみ投信は「できるだけ安いコストで、幅広いお客様の資産形成をお手伝いしたい!」という目標を掲げ、主に国内株式を対象に投資を行うアクティブファンドです。

投資方針として「守りながら増やす」を合言葉に、リスクを抑えながらリターンを増やすという市場の流れに応じた機動的な運用を行なっています。

運用は、ひふみ投信を運営するレオス・キャピタルワークス自ら行なっています。

参考記事:安定的に資産を伸ばしているひふみ投信は買うべき投資信託なのか

ひふみ投信のトータルリターン

%e6%8a%95%e8%b3%87%e4%bf%a1%e8%a8%97%e3%80%80%e3%83%88%e3%83%bc%e3%82%bf%e3%83%ab%e3%83%aa%e3%82%bf%e3%83%bc%e3%83%b3

ひふみ投信は設定された2008年からのトータルリターンは229.4%となっています。分配金は0円。

ひふみ投信は、2008年9月に発足後、今まで一度も分配金を出していません。

設定来のトータルリターンは229.4%、年率換算約28%と非常に高いリターンを誇ります。

仮に同時期にTOPIXに投資していた場合のトータルリターンは42.3%ですので、ひふみ投信の「守りながら増やす」の投資方針は大成功していると言えます。

そんな確かな運用と実績により純資産は320億を突破、基準価格も32000円を突破しています。

ひふみ投信

そしてひふみ投信は分配金を出さない運用をしているので、基準価格がそのままファンドの実質リターンとなります。

分配金が無いファンドに不安を感じる方もいるかと思いますが、分配金の分をファンド内で再投資し基準価格を高める方針のファンドは、売買をすることで分配金分の売買益を得ることができるので、何も不安に感じることはないでしょう。

高い実質リターン、確かな運用方針を持つひふみ投信は、今後も期待できる国内優良アクティブファンドです。

ローリスクファンドの利回り

%e3%83%ad%e3%83%bc%e3%83%aa%e3%82%b9%e3%82%af

これまで比較的リスクが高いと言われる株式やREITに投資するアクティブファンドの利回りを見てきました。

最後に比較的ローリスクと言われる海外(先進国中心)の債券へ投資するインデックスファンドの利回りを見てみましょう。

インデックスF海外債券(H有)1年決算型の利回り

インデックスF海外債券(H有)1年決算型『愛称:DCインデックス海外債券(ヘッジあり)』を見てみましょう。

DCインデックス海外債券(ヘッジあり)は、先進国(日本を除く)の債券に投資し先進国債権の代表的な指標、シティ世界国際インデックス為替ヘッジありに連動する成果を目指すファンドです。

原則為替ヘッジを行い、為替変動による損失をカバーします。

運用は日興アセットマネジメントが行います。

トータルリターンはどれくらい?

設定来(2001年から)のトータルリターンは38.1%。

設定来のトータル分配金は110円。このファンドは設定翌年以降、基本的に毎年10円の分配を継続しています。

債券インデックスファンドはローリスクローリターン

%e5%82%b5%e6%a8%a9

DCインデックス海外債券評価価額の変動が少なく安定したリターンを実現しています。

先進国の債権に分散投資し更に為替ヘッジを行うことで、リスクを減らしながら安定したリターンを長期的に得ることができます。

このファンドは、そのような堅実な運営を設定来続けており、毎年10円の分配を続けつつ基準価格を高め、設定来平均約3%のリターンを上げることに成功しています。

このファンドは目を見張るような高いリターンは期待できませんが、堅実なリターンを期待できるファンドです。

まとめ

債権に投資するローリスク投資は、世界金融危機の際にも基準価格が暴落せず、リスクを抑えた運用ができますが、その分リターンは低く期待リターンは2~3%。

株式や不動産に投資するハイリスク投資は、世界金融危機の際には基準価格が暴落するので、リスクは高いですが、その分リターンは高く期待リターンは5%以上です。

投資の原則として、リターンが高いものはハイリスク、低リスクの商品はローリターンです。

しかし中にはハイリスクの割にリターンが見込めない投資信託も数多く存在します。

上記3つのをリスクの高い順に並べると、

・ゼウス>ひふみ投信(平均的)>インデックスF海外債券

となるでしょう。

大切なことは、リスクに対するリターンを見込める投信を見極めて投資することです。