「リスク抑制世界8資産バランスファンド(愛称:しあわせの一歩)」という投信商品があります。
商品名にあるとおり8つの資産に分散投資することで、景気変動のリスクをなるべく少なくしながらも、利益を上げていく商品です。
投資対象は国内、先進国の債券を中心に新興国債券、国内株、先進国株、新興国株、国内リート、先進国リートと幅広いです。
売買価格の指標である基準価額の変動リスクを年間2%程度にまで抑えるようにしています。
6割の資産を国内債券に投資することで安定的な運用を、残りの資産を国外債券や株式に投資することで利益を出しています。
また、投資初心者にとっては限られた資産を効果的な場所に自動的に投資してくれるメリットもあります。
総資産額も高く基準価格もわずかではあるものの右肩上がりの傾向を示しているため、一見するとよい投資商品のように感じます。
しかし、どの商品にも良い面もあれば悪い面も存在します。
今回は「リスク抑制世界8資産バランスファンド」を買うにあたって、気をつけるべきポイント4つをお伝えしましょう。
気をつけるポイント1:リスクを抑えるとリターンも抑えられてしまう
投資信託の基本は「リスクとリターンは比例する」です。
つまり、高いリターンを求めるにはそれ相応のリスクを背負う必要があります。
今回紹介している「リスク抑制世界8資産バランスファンド」は、株価変動リスクや為替リスクなどさまざまなリスクの影響を少なくする商品です。
リスクが少なくなる分だけ、受け取れるリターンも小さくなってしまうのが気をつけるべき点の1つ目です。
実は、このリターンの小ささは次のポイント2にも影響してきます。
気をつけるポイント2:リターンに対し相対的に運用コストが高くなりやすい
バランスファンドは投資家が本来自分たちで行う投資先のリバランスを、専門家(ファンド会社)に行ってもらいます。
投資経験が少ない初心者やサラリーマンなどでなかなか投資に割ける時間がない方にとっては、自分たちでリバランスをする必要がないため、気軽に資産運用することができるのがメリットといえます。
ただし、専門家に委託する分だけ運用コストが高くかかってくるのが欠点です。
この投信商品の購入手数料は1.00%(税別)、信託報酬は0.69%(税別)とそこまで高い比率ではありません。
しかしながら、ポイント1でご紹介したようにこの商品はリターンが小さいです。
手数料の金額や比率が低いとしても、相対的に運用コストが高くなってしまうことに注意しましょう。
気をつけるポイント3:リバランスの投資先を自身で選ぶことができない
リバランスを自分でしないということは、リバランスの投資先を自分で選ぶことができないということです。
投資先についてはファンドマネージャーの手腕や価値観に左右されるため、投資家自身の考えや価値観に合わないところに貴重な資産が使われていたり、そもそも投資内容が不明な場合も決してゼロとは言えません。
この商品は国内の債券から新興国の株式まで幅広い分野に投資します。
ファンド会社やマンスリーレポートをチェックし、どういった運用がなされているのかを自分でチェックする習慣をつけるようにしましょう。
気をつけるべきポイント4:定期分配型は税金分で損することもあるので注意
日本人に人気の投信商品は、毎月もしくは数か月に一回分配金がもらえるものが多いです。
このリスク抑制世界8資産バランスファンドも例にもれず、2か月に1回、つまり年に6回分配金がもらえます。
しかし、日本の法律により分配されたお金のうち20.315%は税金として取られてしまいます。
分配金がない投信商品の場合はこの税金分も再投資の金額として回すことができるので、長期的な目線で考えるのであれば分配金がない投信商品を選ぶことをおすすめします。
リスク抑制世界8資産バランスファンドは4つのことに気をつけよう
- リスクを抑えるとリターンも抑えられてしまう
- リターンに対し相対的に運用コストが高くなりやすい
- リバランスの投資先を自身で選ぶことができない
この4点を気にかけた上で、購入するかしないかの判断ができるようになるといいでしょう。
自分に合った投信商品を見つけられるきっかけになればと思います。
リスク抑制世界8資産バランスファンドの概要(2017年11月末時点)
名称 | リスク抑制世界8資産バランスファンド(愛称:しあわせの一歩) |
対象 | バランス型 |
地域 | 国内外 |
利回り | 1.80% |
総資産額 | 420億円 |
基準価格 | 10,154円(1万口あたり) |
信託報酬 | 0.69%(税別) |
※情報は2017年11月末時点です。 |