国内の金利の低迷が続き、国内債券へ投資をしてもほとんど利回りが得られない状況が続いています。
現在10年物の国債を購入しても得られる利子は銀行の定期預金のそれとほとんど変わらないレベルまで落ち込み、国債を購入するメリットをあまり感じません。
そこで高利回りの外国債券へ投資をしようと考える人が多く、近年海外債券投資は人気のある投資商品の一つになっています。
しかし外国債券は個人が直接買い付けることが難しく、銀行や証券会社等の金融機関を介して購入する必要があるため、手数料が割高となってしまいます。また、最小購入単位が100万円以上等ある程度まとまった資金が必要で、初心者には手が出しづらいというデメリットもあります。
そこでおすすめしたいのが外国債券へ分散投資するインデックス型の投資信託(インデックスファンド)です。
※インデックスファンドについて詳しく知りたい方は、初心者はインデックスファンドを購入するべきだと言われるのは何故かも合わせてご一読ください。
インデックスファンドのメリット
インデックスファンドには主に下記のようなメリットがあります。
少額で分散投資が可能
投資においてリスクを軽減するためには分散投資をするのが基本ですが、投資する商品によっては多額の資金が必要になることがあります。
その点、インデックスファンドは少ない金額でたくさんの銘柄に分散投資することが可能です。
例えば海外への債券投資でアメリカとカナダ、他ヨーロッパ諸国合計10カ国に分散投資をする場合、投資が可能な最小単位でそれぞれの国へ投資する必要があります。
1つの海外債券を購入するのに最小単位が100万円なら10カ国で1000万円掛かるわけです。
これに比べてインデックスファンドであれば一つのファンド(投資信託)で数カ国への分散投資が可能です。
一般投資家が購入できるインデックスファンドはだいたい5千円~1万円程度あれば購入できるのでわずか1万円で世界中に分散投資が可能になるわけです。
換金がしやすく手数料も掛からない
インデックスファンドは換金が簡単にでき、換金する際の手数料が掛からないものも多いです。
個人向け国債などは一定期間換金できないことがあり、さらに満期が到来する前に途中で換金する場合にはペナルティが差し引かれることがあります。インデックスファンドなら特に制約もなく簡単に換金できます。
また、投資商品の中には換金する際に手数料が掛かってしまうものがありますが、インデックスファンドなら多くは手数料が無料となっているので心配いりません。
為替リスクを回避することも出来る
海外投資型のインデックスファンドには「ヘッジあり」と「ヘッジなし」のファンドがあり、「ヘッジあり」は為替の変動による損失を回避(ヘッジ)することができるというメリットがあります。
為替リスクとリスクヘッジについて
為替リスクとは、外国為替レートの変動によって生じるリスクのことです。具体例でわかりやすく説明します。
例えば「1ドル=100円」の時に1000万円支払って米ドル10万ドルを購入したとします。
その後、為替相場が「1ドル=110円」の円安になった時に日本円に換金すると、110円×10万ドル=1100万円になります。
つまり、1100万円-1000万円=100万円の利益を得ています。反対に、為替相場が「1ドル=90円」の円高になった時に日本円に換金すると、90円×10万ドル=900万円になります。
つまり、1000万円-900万円=100万円の損となります。
リスクとは結果の振れ幅のことであり、為替相場は日々変動しているため、外貨を使って外国投資をするとその分(為替市場)のリスク(振れ幅)が生じてしまうわけです。これが為替リスクです。
リスクヘッジとはリスクを回避することであり、為替の場合であれば為替変動によって生じるリスクを回避することを意味します。
具体的な手法としては、将来の為替変動の影響を受けないように、前もって将来の為替レートを確定させて取引するという方法があります。
例えば、現在の為替レートが「1ドル=100円」であれば、1ヵ月後に「1ドル=100円」で取引するという契約をするのです。
こうすることで1ヵ月後に為替変動により円安になっても円高になっても影響を受けなくなります。
ただし為替ヘッジを行うと損をすることはなくなりますが利益を得ることもなくなること、またわずかではありますが、リスクヘッジには手数料が掛かるため総合的に見れば「ヘッジあり」ファンドの方がリターンは小さくなります。

リスクを小さくした分、リターンは小さくなるんですね。

ハイリスク投資はハイリターン、ローリスク投資はローリターン、は投資の鉄則なんだ。為替リスクを無くしたヘッジありファンドは確実にリターンは小さくなる。だが安定性は保たれる。どちらを選ぶかは投資家の自由だ。
外国債券インデックスファンドの利回り
では、実際の外国債券インデックスファンドの利回りはどのくらいになるのでしょうか。以下ではインデックスF海外債券(ヘッジ有)1年決算型を例として取り上げてみました。
インデックスF海外債券(H有)1年決算型
インデックスF海外債券(H有)1年決算型は、複数のファンドが特定のファンドあるいは複数のファンドに投資するファミリーファンド方式で運用されています。
参考記事:ファミリーファンド方式とは何か?性質と種類等を解説
メインとなる投資対象は世界各国の公社債であり、日本以外のシティ世界国債インデックスの値動きに連動して投資パフォーマンスを行います。
運用効率をアップさせるため債券先物取引などを取り入れることもあり、外貨建ての投資では為替リスクのヘッジが行われています。
外国債券インデックスファンドの利回りはだいたい年間2~3%くらいとされていますが、インデックスF海外債券(H有)1年決算型の2001年設定来のトータルリターンは38.1%という運用成績になっています。
年間平均リターンは2.54%で、仮に300万円を複利で投資すると10年後には385万5266円、約85万円の利益になります。
まとめ
インデックスファンドではなく直接外国の債券を購入するという方法もあります。
たしかに外国債券を個人が直接買い付けることもできますが、現地の銀行口座を開設する必要があるなど手間がかかることが多く、銀行や証券会社等の金融機関を通じて購入しなくてはならないため手数料が高額になります。
また購入単位が100万円以上と高額になることもあり、まとまった資金も必要となります。
その点、インデックスファンドなら少ない金額で個人でも気軽に購入できますし、金融機関を通じて簡単な手続きで購入できます。初心者にはおすすめの投資です。