投資信託に限らず株や債券の金融商品を購入する際に必ず専用の口座を開設する必要があります。
一般的に証券口座とか投資口座とか呼ばれたりしますね。
投資信託を始める際に開設する口座は以下の3つから選ぶことが出来ます。
- 特定口座「源泉徴収あり」
- 特定口座「源泉徴収なし」
- 一般口座
これらは新しく口座を開設する際に必ず選択する項目があるので、特に始めて投資用の口座を申込する人は、
「特定口座って何?」って思っちゃいますよね。
本ページでは上記3つの口座についてこれから投資を始める人でも分かるように解説します。
特定口座とは?一般口座の違い
投資用の口座を開設する際必ず特定口座と一般口座の選択をしなければいけません。口座開設をする際は必ず選ぶことになります。
更に特定口座は「源泉徴収あり」と「なし」に分かれており、申込用紙には一般的に、
- 特定口座「源泉徴収あり」
- 特定口座「源泉徴収なし」
- 一般口座
の3つから選ぶようになっています。
これら3つの口座の違いを簡単に説明すると、確定申告、税金の支払い方に関連する違いがあります。
確定申告と源泉徴収(基本用語解説)
確定申告とは「その年でどれだけ自分に所得があり、それに掛かる税金はこれくらいです」というのを税務署に申告することです。会社員の人はあまり馴染みがないかもしれませんが、自営業者やフリーランス、副業などで副収入を得ている人はみんな年に1回(2月~3月)確定申告を行っています。現在日本の法律では収入を得た人はそれに掛かる所得税及び住民税の支払い義務が課せられます。
会社員の給与所得の場合、会社側が各社員の収入(給料)を計算してそれに対する所得税及び住民税を給料から天引きする形で徴収しているため、従業員が個人的に確定申告をして税金を計算する必要はありません。
これを源泉徴収と言います。
しかし会社員でも投資等によって得た副収入は会社で源泉徴収をしてくれないので自分で税務署に申告する必要が出てきます。
投資で得た利益に掛かる税金は20%なのでもし仮に投資によってたくさん利益を得たにも関わらず、税務署に申告してないと税金を支払うことが出来ず、たとえ故意でなくても脱税となってしまいます。
脱税は発覚すると過去の所得の分までさかのぼって利息付きで徴収されるので投資で副収入を得た場合は必ず申告するようにしましょう。
特定口座は確定申告が楽になる
特定口座とは金融機関が年間取引報告書を作成してくれる口座のことです。
年間取引報告書は簡単に説明すると投資によってその1年間でどのような取引を行い、「いくら儲けが出た」、「損失が出た」が書かれた書類のことです。
これによって確定申告が飛躍的に楽になります。
年間取引報告書は確定申告の際に必ず必要になってきますし、手数料が発生するということもないのでデメリットはありません。
源泉徴収なしで確定申告が不要に
また、特定口座には「源泉徴収あり」と「なし」を選ぶことが可能です。
源泉徴収ありを選ぶと自動的に税金を支払ってくれる(徴収される)ので原則確定申告を不要にすることが出来ます。
多くの会社員は確定申告をしていない(正しくは会社がやってくれている)ので「特定口座の源泉徴収あり」にしておくと確定申告の手間が
省けて楽です。
しかし「特定口座の源泉徴収あり」にはデメリットもあります。
会社員の給与所得のみの場合、年間20万円の雑所得までは(他に確定申告をする理由がなければ)確定申告をする必要がありません。
つまり会社員は投資による利益が20万円までなら税金を支払う必要がないというわけです。
しかし「特定口座の源泉徴収あり」にすると自動的に徴収されるので例えば利益が19万円の時でも税金を支払うことになってしまいます。
この支払った税金は回収することが出来ないので結果的に支払う必要のない税金を支払ってしまうことになります。

源泉徴収ありの口座は便利ですが「無駄に税金を支払ってしまう可能性がある」というのが最大のデメリットです。自動的に徴収されるので気を付けなければなりません。
一般口座にメリットはない?
一般口座の場合、源泉徴収も年間取引報告書もありません。
利益が発生した場合1年間の取引をすべてチェックし、自分で利益を計算して確定申告をする必要があります。
特定口座はそれを金融機関がやってくれるわけですから特定口座を選ばない理由はありません。先述した通り特定口座に特別手数料が掛かるというわけでもありません。
そのため大半の人が特定口座を利用しているのが現状です。
また厳密には一般口座には一度に30万円以上の売却をしない限り取引内容が税務署に行かないという特徴もありますが、脱税は犯罪ですし取引履歴は残っているわけですから調べればすべてバレるので利点とは言えません。
まとめ 結局どの口座にするべきか
以上をまとめると、
- 特定口座「源泉徴収あり」→確定申告不要、利用者は最も多い
- 特定口座「源泉徴収なし」→確定申告は必要だが楽に出来る。
- 一般口座→メリットなし。利用する人もほとんどいない(と思われます)
- 20万以下の利益でも税金が徴収される
- 複数口座を持つと結局確定申告が必要になる
- そもそも会社員でも確定申告が出来た方が良い
というようになります。
特定口座は特に手数料が掛かるわけでもないのでデメリットはありません。
なので大半の人は特定口座の源泉徴収ありかなしの二択で選ぶことになります。
特定口座(源泉徴収なし)が最善か
先述した通り源泉徴収ありの特定口座は確定申告が不要なので一番楽です。
しかし下記の3つの理由から会社員でも特定口座(源泉徴収なし)を選ぶことをおすすめします。
その理由は、
というものです。
一つ目は先述した通り。
二つ目の複数口座を持った場合についてですが、投資による利益に課せられる税金は年間を通じて総額で計算されるので、二つ以上投資用の口座を持っていると合算する必要が出てきます。
その際、例えば2つの口座で運用していて二つとも黒字なら源泉徴収されても問題ありませんが、一方で赤字がとなってしまっている場合、無駄に税金を支払ってしまう可能性が出てきます。
例えばA口座で+50万円、B口座で-50万円という収支だった場合、自動的に税金が徴収されてしまうとA口座から50万円の20%、10万円が税金として徴収されることになります。
しかし二つの口座を合わせば利益は0なので本来税金を支払う必要はありません。
この際にA口座とB口座を合算(損益通算)するわけですが、損益通算をする際は必ず確定申告が必要になってきます。
源泉徴収ありにしていても複数口座を持つと確定申告しないと大損してしまう可能性が出てきてしまうわけです。
会社員でも確定申告が出来た方が良い
会社員の場合、会社が税金を自動的に徴収してくれるので確定申告や税金に関して無頓着になりがちです。
大多数の会社員が確定申告をしたことがないと思うのでもちろんそれはそれで問題ないと思います。
しかしもし本気で資産を増やしたい、少しでも金銭的に豊かになりたいと考えるなら税金や確定申告についてある程度は知っておいた方が絶対良いです。
例えば会社員でも医療費控除やふるさと納税、確定拠出年金といった誰でも出来るお得な節税術等もあるので最低限の税金の知識を持っておくだけで効果的に資産を増やす(または守る)ことが出来ます。

会社員の源泉徴収システムは非常に便利だが、特定口座の源泉徴収あり同様、自動的に税金を支払うシステムはすなわち不必要に税金を支払ってしまう可能性が生じる。
毎年確定申告をしている自営業者は税金についてシビアだが、確定申告をしていない多くの会社員は「無駄に税金を支払っているかもしれない」ということを考えたことがない。これが問題だ。
始めの一歩は源泉徴収ありでも良いかも
とは言っても投資を始めていきなり損益通算をして確定申告までやるのは簡単なことではないと思います。
これから投資信託を始めてみようと言う人はなおさらでしょう。
「なんか難しそうだからやっぱり口座開設辞めよう」
と思ってしまうことが一番問題です。
なので最初の一歩目は確定申告が不要な特定口座(源泉徴収あり)から始めてみても良いと思います。
口座の種別は後から変更することも出来るのでまずは気軽に始めてみましょう。
※種別の変更をする場合は一般的に申込の翌年以降となります。