ファンド・オブ・ファンズという投資信託をご存知でしょうか。
簡単に説明すると複数の投資信託(以下投信、ファンドと呼ぶこともあります)を対象に投資するタイプの投信です。
同じくファンドに投資するファミリーファンドという形式もありますが、こちらは投資信託用に作られた大きなファンド(マザーファンド)へ投資するタイプの投資信託で、ファンドオブファンズは主に機関投資家や一般投資家が投資出来るファンドへ投資します。
参考記事:ファミリーファンド方式とは何か?性質と種類等を解説
代表的なものには野村アセットマネジメントの「マイストーリー分配型」や、フランクリン・テンプルトンの「テンプルトン世界債券ファンド」、ユニオン投信の「ユニオンファンド」、セゾン投信の「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」等様々なものがあります。
ファンド・オブ・ファンズは一般的に複数のファンドを組み合わせるのでリスクが軽減されやすい、専門家に資産配分を任せることが出来るというメリットが語られやすいですが実際はどうなんでしょうか。
本ページではあまり語られることがないファンド・オブ・ファンズのメリットとデメリット、性質について解説します。
ファンドオブファンズのメリットとデメリット
ファンドオブファンズ(以下FOFと表記することもあります)のメリットについては先ほど少し上げましたが一般的に下記の3つが語られることが多いです。
- 複数のファンドが組み合わさって出来ているのでリスクが分散される
- どのファンドに投資するかを専門家、プロに選んでもらうことが出来る
- 専門家にアセットアロケーション(資産分配)の判断をしてもらうことが出来る
例えばセゾン投信の「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」は先進国株、振興国株、先進国債券、新興国債券を中心に合計8本のファンドをバランス良く組み入れてリスク分散を行っています。
通常これらのファンドの性質、特性を見極めてバランス良く資産配分するのはそれなりに知識が必要なわけですが、始めから組み込まれているファンドオブファンズなら投資初心者でもバランスよく分散投資をすることが可能です。
というのがFOF(ファンド・オブ・ファンズ)の最大のメリットではないでしょうか。
しかしFOFには投資信託に投資するわけですから避けがたいデメリットも存在します。
それは手数料が割高になってしまうということです。
手数料(信託報酬)の高さが最大のデメリット
ファンドオブファンズは投資信託に投資するわけですからその投資信託を購入するということは信託報酬を二重に支払っているということになります。
※信託報酬とはファンドを保有していると必ず発生するランニングコストです。
そのためFOFは無駄に手数料を支払わされているのではないかと言われています。
例えば冒頭で紹介した「マイストーリー分配型」の実質手数料は1.4%~1.7%、「テンプルトン世界債券ファンド」は1.813%~1.943%となっており、アクティブ型ファンドとしても非常に高い水準となっています。
マイストーリー分配型を例に挙げると、投資対象が「国内外の債券及び国内外の株式のいずれもインデックスファンドへ投資するもの」ですから自分で似たようなファンドへ直接投資してしまえば上記手数料の半分くらいの水準まで持っていけるはずです。
※国内外株式へ投資するインデックスファンド、国内外の債券へ投資するインデックスファンドの信託報酬はいずれも0.5~0.8%程度のものが多いです。
ファンドオブファンズへの投資は必ず下のような構図が出来てしまうわけです。
投資信託において高い手数料はデメリットでしかなく、特に理由がなければそのFOFが投資している投資信託を自分で買えば良いと考える専門家も少なくありません。
自分で把握出来るならメリットは薄い?
ファンドオブファンズのメリットは複数の投資信託にバランスよく分散投資をすることが出来ることですが、自分で選択して分散投資出来るであればあえて手数料を払ってFOFを購入する必要はありません。
ただ、投資初心者で出来る限り少ない本数でバランスよく運用したいと考えるなら選択肢の一つに入れてもいいと思います。
ファンドオブファンズは手数料が割高なものが多いですが後述する独立型の投資信託の中には手数料がかなり抑えられているものもあるので低リスク投資の一つとして考えるものいいでしょう。
手数料の安いファンドオブファンズ
ファンドオブファンズの最大のデメリットは手数料が高いことですが、数は少ないですが毎月掛かる手数料を極力抑えたFOFもあります。
それはセゾン投信が運用、販売する「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」です。
セゾン投信は独立型ファンドとも呼ばれる運用会社が直接販売するタイプの投資信託運用会社です。
銀行や証券会社に販売を委託してしまうとその分手数料が発生してしまうわけですが、直接販売を行うことによって手数料を落とすことに成功しています。
セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドの特徴
セゾン投信が運用するバランスファンドの特徴はなんといっても手数料が安いことです。
実質の運用管理費用は0.74%±0.03%となっており1%を大きく割っており、手数料が割安なパッシブ型の投資信託と変わらないほどの水準です。
※ファンドオブファンズの手数料の比較
ファンド名 | 運用手数料(実質) | 運用会社 |
---|---|---|
セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド | 0.74%±0.03% | セゾン投信 |
マイストーリー分配型 | 1.4%~1.7% | 野村アセットマネジメント |
テンプルトン世界債券ファンド | 1.813%~1.943% | フランクリン・テンプルトン |
ありがとうファンド | 1.6% | ありがとう投信 |
ユニオンファンド | 1.8% | ユニオン投信 |
ファンドオブファンズの実質手数料は安いものでも1.5%前後が多くセゾンのバランスファンドは破格と言っても過言でありません。
投資先の配分は株式と債券が半分ずつ。資産配分は下記の通りです。
※画像はセゾン投信より
米国株式、米国債券、欧州株式、欧州債券が中心で比較的に安定成長が見込めます。
50%が米国、欧州、国内の債券なので大きなリターンは望めませんがその分安定的であり、リスクを抑えたい投資信託を検討している人にお勧めです。
まとめ
ファンドオブファンズは手数料が高く、購入メリットが少ないものが多い印象ですが中には安定成長を遂げていてローリスク商品としては選択肢に入れておくべきものもあるという印象です。
特に上述したセゾン投信の「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」は運用手数料が安く安定成長を遂げているのでオススメ出来ます。
バランス型なので急成長は見込めませんがハイリスク投資と合わせて購入しておくと安心かも。