直販型、独立系の投信会社の中でも最も人気のあるセゾン投信が運営する2つのファンドのうち、どちらかというと積極的な運用を行うのがこの「セゾン資産形成の達人ファンド」です。
セゾン投信が運用するもう一つの投資信託、「セゾン バンガード・グローバルバランスファンド」は債券50%、株式50%のインデックスファンドに投資するものですが、こちらの「資産形成の達人ファンド」は株式中心のアクティブ型ファンドに投資するものとなっています。
※インデックス型、アクティブ型が分からない人はこちらの記事をご参考ください。
アクティブ型のファンドはインデックス型に比べ長期的にみるとパフォーマンスが悪くなることが多いと言われていますが、海外のアクティブ型ファンドの中にはインデックス型を大きく上回る成果を長期的に出しているファンドも少なくなく、達人ファンドはそういった優秀なファンドへ投資するファンドオブファンズ形式で運用されています。
セゾン投信の中野社長の著書「投資信託はこの9本から選びなさい」でも勧められているこのファンドは買いなのか?
本ページでは「資産形成の達人ファンド」の中身や特徴等を解説します。
アクティブ型ファンドとしては悪くない投資
結論からいうとセゾン投信の「資産形成の達人ファンド」は投資対象ファンドの業績が優秀で、安定成長が見込める欧米株式を中心に投資しているためアクティブ型ファンドとしては悪くない、むしろ優良投資であると考えます。
セゾン資産形成の達人ファンドの概要
ファンドオブファンズ形式で運用。バンガード社他国内外6社が運用するアクティブ型ファンド合計11本(現時点で組み込まれているのは10本)のファンドへ分散投資を行う。ノーロード。分配金再投資型。
モーニングスターレーティング:★★★★★
リスクメジャー:平均的
信託報酬:1.3%±0.2%
運用会社及び販売会社:セゾン投信
優良ファンドへ分散投資
セゾン 資産形成の達人ファンドは複数のファンドへバランスよく分散投資を行うファンドオブファンズ形式で運用されています。
投資対象のファンドは国内外の投資信託運用会社が運用する11本(組み込まれているファンドは10本)のファンドです。
運用会社 | ファンド名 | 投資対象 | 資産配分 | 信託報酬 |
---|---|---|---|---|
バンガード | バンガード米国オポチュニティファンド | 米国株 | 22.8% | 0.85% |
Tロウ・プライス | T. ロウ・プライス 米国大型グロース株式ファンド | 米国株 | 9.8% | 0.65% |
アライアンス・バーンスタイン・エル・ピー | アライアンス・バーンスタイン・SICAV-コンセントレイテッドUSエクイティ・ポートフォリオ | 米国株 | 9.8% | 0.85% |
コムジェスト | ニッポンコムジェスト・ヨーロッパ・ファンドSA<適格機関投資家限定> | 欧州株 | 27.5% | 1.08% |
コムジェスト | ニッポンコムジェスト・エマージングマーケッツ・ファンドSA<適格機関投資家限定> | 新興国株 | 12.6% | 1.08% |
スパークス | スパークス・ワンアジア厳選投資ファンドS<適格機関投資家限定> | 太平洋株 | 2.9% | 0.9072% |
東京海上アセット | TMA長期投資ファンド<適格機関投資家限定> | 国内外株 及び債券 | 2.3% | 0.513% |
スパークス | スパークス・集中投資・日本株ファンドS<適格機関投資家限定> | 日本株 | 3.9% | 0.72%~0.91% |
スパークス | スパークス・長期厳選・日本株ファンド<適格機関投資家限定> | 日本株 | 6.8% | 0.864% |
コムジェスト | コムジェスト日本株式ファンド<適格機関投資家限定> | 日本株 | なし | 0.73%~0.84% |
Tロウ・プライス | T. ロウ・プライス グローバル・アグリゲート債券ファンド | 外国債券 | なし | 0.45% |
※「適格機関投資家」とは有価証券に対する投資に係る専門的知識及び経験を有する者として内閣府令で定められた投資家のことを指します。
どのファンドもアクティブ型のファンドではありますが長期安定に重点を置く運用方針となっています。
上記組み入れファンドの資産分配を国別でグラフで表すと下記の通りとなります。
投資先はアメリカ、欧州、日本等先進国で大半を占めており、12%程度が新興国株への投資となっています。
日本はやや停滞気味ですがアメリカ、欧州諸国はまだまだ安定成長を続けているので分散投資によって安定的に資産を増やすことが期待出来ると予想されています。
信託報酬は比較的安い
セゾン資産形成の達人ファンドはアクティブ型のファンドオブファンズ形式ですが、同分類の中では比較的信託報酬が安く設定されています。
投資信託情報サイト、モーニングスターによると同カテゴリの信託報酬は1.77%(実質)なのでセゾンの1.35%は比較的安価な設定となっています。
アクティブ型のファンドオブファンズ形式の投資信託としては最も安い水準ではないでしょうか。
運用実績は良好
資産形成の達人ファンドは何よりこれまでの運用実績が非常に優秀です。
下の画像は基準価額と純資産総額のグラフです。
2007年の設定から現在まで順調に資産を増やし続け、現在純資産総額は300億円に迫っています。基準価額も上昇し、現段階で開始から+50%以上の騰落率となっています。
過去の運用実績はあくまで過去の結果に過ぎず将来を保証するものではありませんが、運用方針通り長期的に安定成長を続けているため今後も期待できると思います。
セゾン資産形成の達人ファンドのデメリット
アクティブ型ファンドとして優秀な結果を出している資産形成の達人ファンドですがやはりファンドオブファンズ形式であるため信託報酬の割高感は否めません。
※ファンドオブファンズ形式は投資先のファンドとファンドオブファンズを運用する運用会社に信託報酬を支払うことになるので割高になるという指摘があります。
ただ、本ファンドの関してはアクティブ型運用のファンドに投資しているため、元のファンドの信託報酬が割高なこと(0.65%~1.08%)、投資対象ファンドの多くが誰でも投資できるわけではない適格期間投資家限定の投資であることを考慮すると目を瞑れない額(信託報酬)ではないとも言えます。
更にファンドオブファンズ形式は信託報酬を二重に支払う代わりに資産配分のリバランスを行ってくれるので全くもって無駄な手数料を支払っているとも言えません。
※資産配分のリバランスとは
当初設定していた資産配分が価格の変動によってバランスが崩れたり配分が偏ったりしたものを調整することをリバランスと呼びます。
購入するかどうかの決め手(まとめ)
セゾン資産形成の達人ファンドはアクティブ型の投資信託として購入を検討しても良い一本だと言えるしょう。
ただ、長期安定成長という面であえてアクティブ型ファンドを選ぶ必要性があるのか疑問が残ります。
私の投資に対する考え方としては長期安定成長を狙ったローリスクの分散投資をするならインデックス型ファンドを購入すべきだと思っていますし、高利回りのハイリスク投資をするなら分散型の投資信託ではなく高利回りの債券や株式等別の金融商品を選びます。
ここはもう、
「信託報酬の高いアクティブ型ファンドでも運用利回りが期待できるから買いである」
と考えるか、
「高い信託報酬を支払うなら自分で金融商品を選んで購入する」
と考えるかで「セゾン資産形成の達人ファンド」を購入すべきかどうか意見が分かれると思います。
私の意見としては「ハイリスク投資を自分で選んでやる時間はない、そこまで勉強するのはしんどい」と考えるなら購入を検討すべきかと思います。何より本ファンドは信託報酬が安価に設定されているので悪くない投資であると考えます。
投資信託にたくさんの種類があるのは人よって投資に対する考え方、運用方法は変わってくるからなんですよね。
自分に合った投資だと感じたものを購入しましょう。