数円、数十円しかもらえない毎月分配型の投資信託商品の中で、毎月100円(1万口あたり・税引前)を払い出ししている日本株アルファ・カルテット(毎月分配型)。

ある一定以上の値上がり益を放棄する代わりに損益時のダメージを軽減するカバードコール戦略を取っているのが特徴です。

一見するとお得な投信商品に見えますが、実際はいかがなものでしょうか。

今回は、日本株アルファ・カルテット(毎月分配型)について詳しくご紹介していきたいと思います。

日本株アルファ・カルテット(毎月分配型)の基本情報と特徴

日本株アルファ・カルテット(毎月分配型)の基本情報を確認しておきましょう。

名称 日本株アルファ・カルテット(毎月分配型)
対象 株式
地域 国内
総資産額 2,388億円
基準価格 4,425円(1万口あたり)
信託報酬 1.902%(税込)
利回り率(推定) 2.24%
為替ヘッジ なし
※情報は2018年1月末時点です。

特徴としては以下の3点があげられます。

  • 投資先の80%以上が国内株式である
  • 毎月一定のお金を受け取れる毎月分配金型の投信商品である
  • 利益を一部放棄する代わりに、損益時のダメージを軽減するかバードコール戦略を取っている

投資先の80%以上が国内株式である

国内の東証一部上場企業に対して、投資を行っています。

株式であるため、債券型の投信商品よりは振れ幅が大きくなります。

毎月一定のお金を受け取れる毎月分配金型の投信商品である

直近半年間の分配金データを見ていると、毎月100円(1万口あたり)の分配金がもらえています。

確認できるデータではもらえていない時期はなさそうですが、運用状況によっては分配されないこともあります。

利益を一部放棄する代わりに、損益時のダメージを軽減するかバードコール戦略を取っている

カバードコール戦略というのは、自身の資産の値上がり益を一定額以上から放棄することで、対価としてプレミアム収入をもらえるというものです。

一定額のラインをαとします。

  • 保有資産の値上がりし、αを超えた ・・・α分までの利益は享受でき、それ以上の分は利益を享受できません
  • 保有資産が値上がりしたが、α以下だった ・・・値上がり分の利益をそのまま享受できます。
  • 保有資産が値下がりした ・・損益をプレミアム収入で軽減することで、全体的な損益額を少なくします

価格の変動に関わらず一定額の収入(プレミアム収入)を得られることがメリットですが、その一方で一気に値上がりした場合でもその恩恵は制限されてしまうのがデメリットといえます。

こうした3つの特徴がある日本株アルファ・カルテット(毎月分配型)ですが、当サイトとしては「おすすめはしない」という結論に達しました。

その理由をお話しましょう。

日本株アルファ・カルテット(毎月分配型)をおすすめしない理由3つ

当サイトでは 日本株アルファ・カルテット(毎月分配型)をおすすめしておりません。

その理由としては、

  • カバードコール戦略は価格変動がないときにしか恩恵を受けられない
  • 運用コストが全体としても高め
  • 配当金の割りに基準価格が少ない

の3つです。1つずつお話していきますね。

カバードコール戦略は価格変動がないときにしか恩恵を受けられない

一番の大きな理由は、カバードコール戦略を取っていることです。

前章でもお話しましたが、この戦略を取っていると利益が大きくでそうになっても、一定以上からは利益を得られなくなります。

逆に、値下がりした場合だとプレミアム収入で軽減できると言っていますが、結局負けていることに変わりはありません。

この商品は経済が安定していて価格変動が少ないものに対してなら効果を発揮すると考えられます。

しかし、今日の世界情勢を見ていると決して安定しているとは言いがたい状況です。

日本株に投資するのであれば、日系225インデックスファンドなどに投資するのがいいでしょう。

運用コストが全体としても高め

この投信商品の購入手数料は3.78%(税込)、運用コストの目安となる信託報酬は1.9%(税込)と、決して安いとはいえない金額です。

加えて、毎月分配型の商品であることから、毎月20.315%の税金が引かれてしまいます。

税金分も再投資として回せたと考えれば、実質の運用コストの増加、ひいては運用効率の低下につながります。

 

特に、前述したカバードコール戦略のため大きな利益が出にくい仕組みとなっており、そもそも運用効率を大きくあげることがシステム上難しいです。

そうすると大きな運用コストがネックとなることから、おすすめをしないということになります。

配当金の割りに基準価格が少ない

2018年1月時点での基準価格は4,425円ですが、配当金が毎月100円配られていることを考えると、元本を切り崩している可能性もありえます。

基準価格が少なくなっていくと自然と分配金も減らさざるおえなくなるため、高い分配金に目を奪われず、中身をよくチェックする必要があります。

目先の利益にとらわれず、自分に合った投信商品を選ぼう

今回は日本株アルファ・カルテット(毎月分配型)の詳細と、おすすめしない理由をご紹介いたしました。

ホームページの内容や営業マンの話を鵜呑みにせずに、この商品は自分に合っているのか、他の人はどういう観点で見ているのかをチェックしたうえで選ぶようにするのがポイントです。