投資信託の種類は現在国内だけで五千種類以上に昇ると言われ、リスクが軽減できるから初心者向きとされる「リスク限定型投信」や条件次第で元本まで保証される「元本保証型」、年代に合わせて資産配分が変わる「ライフサイクル型投信」等その種類は多岐に渡ります。

これらの金融商品、投資信託を銀行等で「資産運用の一つに」と勧められたことのある人は少なくないと思いのではないでしょうか。

結論から言うと上記に上げたような複雑でわかりにくい投資信託は購入しないことが賢明です。

このような投資信託を実際購入している人はそのほとんどが銀行で勧められたものやランキングで上位のものをよくわからず買っているのが現状です。

このサイトでも何度も説明した通り、よくわからない金融商品に手を出すと高確率で失敗します

これは投資信託に限った話ではなく、投資で失敗する人の最大の問題点はよくわからないものに投資していることです。

参考記事:投資で失敗する要因はよく分からずに金融商品を買ってしまうからである




複雑な投資信託は誰のため?

企んでいる受付

投資信託はとにかく複雑なものが多いです。

年齢に応じて途中で乗り換わる「スタティック・アロケーション型」と呼ばれるものや2010年、2020年と年代で乗り換えていく「ターゲットイヤー型」等何故そんなことをする必要があるのかよくわからないものもあります。

通常投資信託は元本を割るリスクがつきものですが「元本保証型」「リスク限定型」というものがあったり…

冷静に考えると必要性を感じない投信の多くは(元本保証が可能な)仕組みを理解するのは素人には難しいと思われるくらい複雑な仕組みを取っていたりします。

何故このような投資信託が販売されるのか?というのはとても単純で金融会社が売りたいからなんですよね。

すべては売るための商品に過ぎない

投資信託は五千種類以上ありますが、そのすべては運営会社及び販売会社が利益を得るために作られた商品に過ぎません。

銀行で投資信託を購入する人のほとんどの人が投信を商品だと思って購入することはありませんが、銀行等販売する側からしてみれば投信は(自分たちが)儲かる金融商品に過ぎません。

販売側からしてみれば売れた投資信託がその後利益を出そうが出すまいが自分達に利益をもたらすことに変わりはないので、売りやすい商品、売れやすい商品を勧めたいくらいにしか思っていないわけです。

「なんかスゴそう!」な商品が良い投信

販売する側からしてみれば投資信託が利益を出そうが出まいがそれほど問題ではなく、とにかく売れる商品であることが重要です。

なので例えば、

「毎月分配金が出る」

「元本保証がある」

「リスクが限定されている」

「年齢に合わせた投資が自動的に出来る」

等、中身はどうであれとにかくお客さんが買いそうな「売り」があることが重要です。

しかし毎月分配金をねん出するためには、元本保証を謳うためには、リスクを限定されるためには複雑な仕組み作りが必要になります。

当たり前ですが投資信託は販売会社、運用会社が儲からないと意味がないので自分たちの利益を削って投資家に配分するようなことは絶対しません

なので毎月高額な分配金がある投信も、元本保証のある投信も、リスクが限定されている投信もすべて投資家に利益をもたらすためのものではなく利益をもたらしそうな作りにしてあるだけです。

「なんかスゴそう!」

な投信は金融会社が投資家に買ってもらうための仕掛けに過ぎないのです。

一見スゴそうな金融商品で損をする場合も

「元本保証がある」

「リスクが限定されている」

「年齢に合わせた投資が自動的に出来る」

これらの特徴を持つ投資信託は一見投資家、購入者にメリットがあるように思いますがこれらの「売り」を作るために販売会社、運営会社は投資信託のシステムを複雑化せざるを得ません。

そのため購入時に掛かる手数料、運用に掛かる信託報酬などが高額になりがちです。

投資信託の手数料は安いものを選んで間違いなしにも書きましたが特に保有する限り支払い続けることになる信託報酬は0.1%違うだけで大きく結果が変わってきます。

しかし0.1%信託報酬、手数料が高くても毎月分配金がもらえる方が良い、リスクが限定されている方が良いと考える人が少なくありません。

だから販売会社も手数料が安く本当に利益が出やすい投信より手数料が高くても「売り」のある投信を勧めてきます。

元本保証でも損することもある

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それでもやっぱり元本保証で投資できるとお得感があることは否めません。人は得する喜びよりも損をしてしまう痛みの方を避ける傾向にあるため元本保証という「安全性」に惹かれてしまうんです。

ですが極めて低い金利の日本でもお金を銀行に預けるだけで増やすことが出来ますし、アメリカは現在でも定期預金の利率は2%を上回っている銀行も多いです。

元本保証型の投資信託でも成功しても少ない利益しか得られず失敗すると利回りはゼロ。その上償還日が決まっていて10年投資してほとんど利益得られないのではアメリカの銀行にでも預けていた方がまし。ということになりかねません。

マイナスが出ることだけが損失ではなく、投資機会を失ってしまうこともまた損失なんです。

元本保証高利回りを謳っていた投資商品の行方

かつて元本保証で年6~8.5%の高利回りのリターンが得られるという常識では考えられない金融商品が存在しました。

米金融業者のMRIインターナショナルが販売していた診療報酬請求権債権投資(MARS投資)」と呼ばれる投資信託です。

しかし集めた資産はほとんどが消失し、金融庁からも取り消し処分を受けました。

MRIインターナショナルインクは米国法人でしたが主に日本の投資家が投資し、被害総額は1365億円、約8700人が被害に遭ったとされています。

業界ではMRIに実態がないことは業界の間では有名でした。私が持っている投資信託に関する書籍でも触れられていて「実態がないからどこかでショートする」と解説されていました。取り消し処分を受ける前に販売された書籍です。

※参考外部サイト:

MRIのような巨大詐欺事件まで発展するようなケースは稀ですが、投資家にとって何のメリットもない無駄だらけの不要な金融商品、投資信託は国内には無数に存在します

元本保証を謳っている投資信託は実は元本が保証されていない実体のない詐欺商品か、リターンが国債(日本の長期債券)程の収益しか見込めないノーリスクノーリターン投資商品のどちらかであると考えるべきです。」

マリア2

金融機関の担当者の中には「元本は保証されたも同然」のような言い回しをする人が稀にいます。「保証されたも同然」は元本保証と同じくらい安全(だけど保証はしない)という意味です。契約書にサインする際に本当に元本保証なのか確認しましょう。

リスクの基本的な考え方

「元本保証がある」

「リスクが限定されている」

という投資信託を買ってしまう人は投資をする前にリスクの基本的な考え方を勉強しておきましょう。

リスクについて詳しくは「投資初心者でもわかる!ローリスクとハイリスクの考え方」にまとめていますがリスクには基本的に、

ローリスクローリターンとハイリスクハイリターンの二つしかありません

つまりローリスクハイリターン投資は存在しないということです。ただしハイリスクハイリターンの投資信託は結構あります。いわゆる失敗商品、買ってはいけない金融商品です。

「元本保証がある」というのはローリスクということですなわちローリターンとなります。ただ元本保証型の投信は条件付きでの元本保証がほとんどで、実質それほどローリスクとも言えないケースも多いです。

毎月高利回りの分配金があるということはリターンが大きいということなので必ずハイリスクとなります。

複雑で分かりにくくしても投資の基本はリスクが低ければリターンも少なく、リターンが大きければその分リスクも高くなることが基本です。

難解複雑な投信は買ってはいけない

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複雑な投資信託はその分手数料が高いことも多く、何よりその投資がハリリスクハイリターン投資なのか、ローリスクローリターン投資なのかさえも見えにくいため失敗しやすいです。

投資における失敗とは元本を減らしてしまうことではなく予期しない被害を被ってしまうことです。

分かりやすい例を上げると、

「元本保証と聞いていたのに元本を割ってしまった」

「低リスク投資だと思っていたのに想定外の損失が出てしまった」

等です。

「ハイリスク投資で大きな損失が出てしまった」

という場合は想定内の損失であれば失敗したとは言えません。

複雑極まりない商品ほど「初心者向け」と言われて販売されますがそれらは投資初心者に理解できる代物ではなく避けるべき商品であることがほとんどです。

現代の投資業界の神様的な存在で知られるウォーレン・バフェットの名言に、

「リスクとは、自分が何をやっているかよくわからない時に起こるもの」

というものがあり、よくわからないものに投資することが一番危険であると説いています。

投資信託は複雑でわかりにくいものに何のメリットもありません。

自分で理解出来るもの、分かりやすい商品を選ぶようにしましょう。